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福岡市が積極的に推進!すべての女性に知ってほしい「プレコンセプションケア」

2023.09.22

プレコンセプションケアは、女性のライフプランを考える上でとても重要なものとして、婦人科領域や教育領域で世界的に関心が高まっています。

しかし日本では、当事者である妊娠前の女性の間でさえ、十分な認知が広がっているとは言えない状況です。そんななか、いち早くプレコンセプションケアの推進に積極的に取り組んでいる福岡市での取り組みや、そもそもプレコンセプションケアとはどういうものなのか、女性にとってどうして重要なのかということをご紹介します。

プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケアという言葉自体、一般的にはまだまだ普及が進んでいない言葉です。正確に理解できていないという人や、漠然としたイメージしか抱けないという人も多いので、まずはプレコンセプションケアそのものを詳しく説明します。

プレコンセプションケアの定義

もともとコンセプションというのは妊娠のことを意味していて、つまりプレコンセプションというのは妊娠前という意味になります。世界保健機関(WHO)の定義によると、プレコンセプションケアというのは「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」というものです。

さらに日本では成育医療研究センターが若い男女に将来の妊娠のための健康管理を提供することと定義し、少子化対策や教育の一貫としても重要であるという理解が広がり、日本でのプレコンセプションケアを取り巻く環境というのは年々大きく変化を見せています。

わかりやすくいうと、プレコンセプションケアというのは妊娠前の女性やそのパートナーが、将来の妊娠のために必要な健康情報や検査を理解し、妊娠前から関心を持ち主体的に行動できるようにするものでもあります。

プレコンセプションケアの重要性

日本で女性の晩婚化が進んでいるのは多くの人が知っていることでしょう。晩婚化だけでなく女性の社会進出も大きく進み、過去20年、10年というスパンで見るだけでも日本人女性のライフスタイルは大きく変化しています。さらに、第一子出産における母体年齢も上昇し、いわゆる晩産化も進んでいます。

たとえば30歳という年齢をひとつのターニングポイントとして、女性の体は大きく変化します。卵子の量や質も年々低下していき、妊娠できる力も衰えていくということになります。年齢とともに現れる変化だけでなく、そもそも妊娠時や出産時の体のトラブルには妊娠前の健康状態が大きく影響するものもたくさんあります。

しかしながら、当事者である女性でさえ「年齢が進めば妊娠しにくくなる」ということを漠然と知っているだけという人がほとんどで、将来妊娠や出産の希望があるなら自分がどう取り組むべきか、将来の安全な妊娠・出産のために今の自分にできることがなんなのかを正しく理解しているという人はとても少ないのが現実です。

そして婦人科や不妊治療の専門家といった人たちは、「もっと早くに知るべきだった」と後悔する当事者の声を耳にすることが多い状況です。

また、プレコンセプションケアが重要視されるのは妊娠や出産のためばかりではありません。妊娠前の健康状態が妊娠や出産に影響を与えるということは、ホルモンバランスや卵巣機能、子宮機能などに影響を与えるということでもあります。たとえ妊娠や出産を検討していなくても、これらの機能は更年期障害などのように女性の健康状態そのものに大きく影響しています。そして、プレコンセプションケアの一貫として早期から正しい性教育、ジェンダー教育を取り入れることで望まない妊娠や性感染症の防止、性暴力や虐待から自分自身の身を守ることにもつながる可能性があります。

主体的なプレコンセプションケアの目的

このように、プレコンセプションケアを推進することは社会的に必要とされ、とても意義があることです。しかし、当事者としては「自分にとってどんな良い影響があるのか」がわからないと積極的に取り組む気にはなれず、どんなに周囲がその機会を増やしてもなかなか普及が進まなくなってしまいます。プレコンセプションケアを取り巻く環境の推進と同様に、当事者である女性自身が自分ごととして考えることも重要です。

では、プレコンセプションケアに取り組むことが女性にとってどうして大切なのでしょうか?

たとえばすでにご説明したように、プレコンセプションケアに関連する内容で女性が自分の健康について「もっと早く知りたかった」と後悔するのは、たとえばこんなケースがあります。

  • 30代以降でも妊娠できると思っていた結婚後もしばらくは妊娠を望まずにいたら、人より卵巣機能の衰えが早く、妊娠を希望したときには不妊の状態だった
  • 正しい栄養知識がなく、妊娠中に必要な栄養がわからずハイリスクになる
  • 極度なダイエットや体重コントロールによる慢性的な生理不順で、妊娠を希望したときには医療の力が必要な状態だった
  • 妊娠までに想像以上の時間がかかったことでキャリアプラン、ライフプランに大きな影響が出た

もちろんこれらは一例にすぎず、プレコンセプションケアが十分に行われていたからといってすべてが解決できることでもありません。しかし、たとえば卵巣機能の衰えを早期発見できていたら、結婚後になるべく早く妊娠に向けて準備ができていたかもしれません。

また、月経不順を放っておく危険性を十分に理解していれば、妊娠や出産のために大きな負担をかけて不妊治療をすることを避けることができることもあるかもしれません。

少なくとも妊娠から出産の間に女性は約10ヶ月間お腹の中で赤ちゃんを育て、産後のケアも必要になります。妊娠や出産のプランが大きく変わるというだけでも、女性のライフプランやキャリアプランは大きく変わってしまうということも珍しくありません。

福岡市によるプレコンセプションケア推進事業の内容は?

当然ながら、女性にとっての問題はそのパートナーや家族にとっての問題でもあります。そして、一人ひとりの女性の妊娠や出産という問題は、少子化を始めとした社会にとっての問題でもあります。だからこそ、プレコンセプションケアは世界的に重要な問題として捉えられています。

そして、福岡市ではプレコンセプションケアを積極的に推進するプレコンセプションケア推進事業を開始しました。プレコンセプションケアに積極的に取り組む自治体の具体例として、福岡市での取り組みを詳しく説明します。

対象者へのAMH検査を助成

その年度内に30歳になる女性を対象とし、AMH検査が自己負担500円で受けられるように助成します。

年度内に30歳になるということは、たとえば令和3年度であれば、平成3年4月2日から平成4年4月1日までに生まれた方が対象ということです。

AMH検査とは

AMH検査というのは、血液検査によって卵巣内の卵子の数の目安がわかるものです。30歳という年齢は女性のホルモンバランスが大きく変わりやすいときというだけでなく、この卵子の数の目安に個人差が出てくる時期でもあります。通常は自費で行われる検査のため、5,000円から8,000円程度の費用がかかります。

AMH検査をする理由

AMH検査というのは、特に妊娠を希望していない段階の女性にはあまり知られていない検査です。それどころか、いつか閉経するということは理解していても、年々卵子の数自体が減少しているということを理解している女性自体2割程度でしかないという医師もいます。

女性の場合、一生のうちに作られる卵子の数というのは生まれた時点で決まっています。もちろん、これには個人差もあります。そして、その卵子の数というのは閉経まで均等に一定数作られるというものではなく、年々減少していきます。つまりAMHの値は年々減少していき、一般的には一度下がったものが上がるということはありません。

つまり、AMH検査では卵巣にあとどれぐらいの卵子が残っていて、自分がいつ頃まで妊娠できるのかというおおよその目安を知ることができます。実際、結婚しても仕事やプライベートの都合でしばらく妊娠を検討していなかった女性が、AMH検査の結果妊娠のために残された時間がごくわずかだと知り、妊娠を優先させることに変えたという例もたくさんあります。そして結婚していない女性でもAMHを知ることで積極的に婚活を始めたという例もあります。

プレコンセプションケアはすべての女性に必要なこと

もちろん、プレコンセプションケアとしてAMHだけを知れば十分ということではありません。

早期の正しい性教育やジェンダー教育を始め、自分の体や栄養について、女性がいつまでも健康的に人生を送るために理解してほしいことはたくさんあります。

欧米に比べて日本ではジェンダー教育がまだまだ遅れていたり、女性が産婦人科に行く機会が少なかったりという状況がプレコンセプションケアの推進の妨げとなってしまっているという側面もあります。しかし本来、必要に応じて柔軟に内科にかかるように、妊娠に関わること以外でも月経やホルモンの不調などを解決するために、日頃からかかりつけの婦人科を持っておくということは女性の健康維持に役立ちます。

まずは婦人科でAMHの検査をして自分の体を知る。そして結果をもとに将来の妊娠について婦人科医に相談するなど、この検査をきっかけとして女性と婦人科の距離を縮めるということも、プレコンセプションケアの一貫として大きな意味があるはずです。

 

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