生成AIにも「不気味の谷」があるって知っていますか?
2025.07.07

こんにちは。
AIがどんどん人間に似てきて、違いが見えにくくなってきました。
それを面白いと感じるか、怖いと感じるか。
たぶん、時代はどちらにも傾き得るんですよね。エンパワテックの廣重です。
今回はちょっと心理学寄りの話題を。
それは「不気味の谷(Uncanny Valley)」という現象と、生成AIの関係についてです。
「不気味の谷」って何?
まずはこの言葉の意味から。
「不気味の谷」とは、人間に似ているロボットや映像キャラクターに対して、あるレベルを超えると不快感を覚えるという心理現象のことです。
1970年にロボット工学者・森政弘氏によって提唱されました。
たとえば:
・ゆるキャラ → かわいい
・人型ロボ → おもしろい
・超リアルな人型ロボ → なんか怖い…
この「かわいい → 好感 → …一気に不気味」になる感情の急降下ゾーンが、「不気味の谷」なんです。
そして今、それが「言葉」の世界に現れている
昔は「見た目」の話でしたが、今は生成AIの言葉やふるまいにも同じような谷が現れています。
たとえば:
・すごく自然な文章なのに、なぜか読んでいて引っかかる
・共感してくれる風だけど、なんだかうわべだけな感じがする
・逆に自然すぎて、「本当にAIなの?」と不安になる
この感覚こそが、生成AIの「不気味の谷」です。
AIに「心」がないと、わかっているはずなのに…
私たちは、AIが「ただのプログラム」であることを知っています。
でも、会話の文脈や感情表現があまりに自然でリアルだと、つい「人間らしさ」を感じてしまう。
でも…
完全には通じ合えない。
ここで、「ああ、やっぱり機械なんだ…」というズレを体験します。
その瞬間に、人は「怖い」「不気味」と感じてしまうのです。
これは進化の証でもある
ある意味では、不気味の谷に入るということは、
人間にかなり近づいてきた証拠とも言えます。
・表現が雑だった時代には起きなかった違和感
・本物に似てきたからこそ生まれるギャップ
そう考えると、「AIの不気味さ」は、技術の進歩そのものなんです。
じゃあ、どう付き合うべき?
不気味に感じることを「怖いから使わない」と決めてしまうのは、少しもったいないかもしれません。
むしろ大切なのは、
「どこからが任せられて、どこからが人間の判断領域か」を、自分なりに意識すること。
AIがどれだけ進化しても、
「心を込める」のは、私たち自身だからです。
最後に
AIの会話にちょっとした違和感を覚えるのは、
あなたが敏感で、繊細な感受性を持っている証かもしれません。
けれど、だからこそ、
AIという存在に「気づき」や「問い」を重ねていく力が、私たちにはあるのだと思います。
その違和感の先にあるのは、
きっと、AIと人間が本当にわかり合える未来なのかもしれません。